経済三団体連名による「社会全体における「価格転嫁の商習慣」の定着」に向けた要請について
日本経済団体連合会(十倉雅和会長)、日本商工会議所(小林健会頭)、経済同友会(新浪剛史代表幹事)は連名で、昨年1月に引き続き、標記要請を会員事業者等に周知しましたので、お知らせいたします。
構造的な賃上げや投資拡大を実行していく主体は、我々民間、経済界であり、地域経済の好循環には、全従業員数の約7割を雇用する中小企業が「自己変革」を通じた生産性向上の果実を賃金に繋げるとともに、適正な価格転嫁を通じて賃上げ原資を安定的に確保できるかが鍵となります。
中小企業庁調査では、コスト転嫁率が約50%と価格転嫁は「道半ば」にあり、中小企業における構造的な賃上げと国民が豊かさを実感できる好循環の実現に向け、付加価値の拡大とその適正な分配が不可欠です。そのため、BtoB取引での「パートナーシップ構築宣言」の実効性確保に加えて、BtoC取引では、消費者に対して『良いモノやサービスには値が付く』という価値観を浸透させ、デフレマインドを払拭し、価格転嫁を社会全体で受け入れる商習慣の確立に向けて、官民挙げて推進していくことが急務です。
本要請は経済3団体として、会員企業、特にサプライチェーン上位に位置する大企業、中堅企業、発注者でもある中小企業等に対し、「パートナーシップ構築宣言」の趣旨の徹底と実行を強力に進めるとともに、未宣言企業に対して宣言への参画を呼びかけるものです。
(1)要請の要旨
1.経営者自らが先頭に立った、取引適正化への取組み強化
パートナーシップ構築宣言の積極的な宣言・公表、社内体制を明確に示した取引適正化の徹底。
直接の取引先を通じ、その先の取引先へ働きかけることで、宣言の実効性確保と社会全体への浸透を図る。
発注者及び受注者双方が労務費転嫁指針に沿った行為を徹底。経営トップが社内外に方針を示す。
2.労務費、エネルギーコスト、原材料費の価格転嫁の推進
発注者及び受注者双方が労務費転嫁指針の価格交渉様式例を活用し、公表資料を基に価格交渉を行う。
サプライチェーン全体で労務費、エネルギーコスト、原材料費の価格転嫁を推進。
発注者であるサプライチェーン上位に位置する大企業等は、受注者の要請に真摯に向き合うとともに、受注者においても価格交渉力を高め、価格転嫁を商習慣としていくことに努める。
3.「価格転嫁の商習慣」の定着による社会全体の付加価値の向上
パートナー企業との連携を促進し、発注者及び受注者双方の付加価値の拡大を目指す。
中小企業単体では対応が困難な課題解決にサプライチェーン全体で積極的に挑戦する。業界内で依るべき優良な取引慣行について体系的な改善サイクルを確立する。
「価格転嫁の商習慣」の定着による社会全体の付加価値向上を図るため、政府においては、最終消費者である国民に対し、「良いモノやサービスには値が付く」ことの理解深化に向けて、啓発を行う。
(2)要請の全文はこちら
(3)「パートナーシップ構築宣言」ポータルサイト
https://www.biz-partnership.jp/index.html